森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
「今日は馬で移動する」
「まあ、馬で……?」
いつもよりも厚手の格好をさせられ、リーゼロッテは前の鞍に乗せられた。その後ろでジークヴァルトが手綱を握る。
「いくぞ」
鐙を蹴ると、馬はゆっくりと進みだした。やがて軽やかに走り出す。
長距離を行くとのことで、今日はきちんと馬に跨った。横乗りしかしたことのなかったリーゼロッテは、鞍の取っ手をつかむ手にいたずらに力が入る。
「怖いか?」
「いえ、ヴァルト様が一緒ですから」
腹に回された腕が心強い。しっかりと支えられているのを感じて、リーゼロッテは力を抜いた背をジークヴァルトに預けた。
ふっと笑みをこぼして、ジークヴァルトは馬の速度を上げた。泊まっていた宿の街を離れると、何もない草原が広がる街道をひた走っていく。
だいぶ南に戻ってきたとはいえ、所々に雪が残っているのが目に入った。行く道もあまり綺麗には舗装されていなくて、土を踏みならして作られただけのようだった。
「今日はここに泊まるのですか?」
「いや、ここは城下町だ。今から父上たちのいる辺境の砦に向かう」
「辺境の砦……。ん? 父上たちのいる……?」
馬上でこてんと首を傾ける。ジークヴァルトの父親といえば、初恋の人ジークフリートしかいない。
「じ、ジークフリート様に会いに……!?」
「父上だけじゃない。母上もいる」
むっとした声音のジークヴァルトを前に、リーゼロッテは唖然となった。今から義両親に結婚の報告に行くのだ。それを理解して、脳内で声の限り叫んでいた。
(そんな大事なことは前もって言え――――っ!)
街の先に見えてきた堅牢な砦には、あっという間にたどり着いてしまった。
「今日は馬で移動する」
「まあ、馬で……?」
いつもよりも厚手の格好をさせられ、リーゼロッテは前の鞍に乗せられた。その後ろでジークヴァルトが手綱を握る。
「いくぞ」
鐙を蹴ると、馬はゆっくりと進みだした。やがて軽やかに走り出す。
長距離を行くとのことで、今日はきちんと馬に跨った。横乗りしかしたことのなかったリーゼロッテは、鞍の取っ手をつかむ手にいたずらに力が入る。
「怖いか?」
「いえ、ヴァルト様が一緒ですから」
腹に回された腕が心強い。しっかりと支えられているのを感じて、リーゼロッテは力を抜いた背をジークヴァルトに預けた。
ふっと笑みをこぼして、ジークヴァルトは馬の速度を上げた。泊まっていた宿の街を離れると、何もない草原が広がる街道をひた走っていく。
だいぶ南に戻ってきたとはいえ、所々に雪が残っているのが目に入った。行く道もあまり綺麗には舗装されていなくて、土を踏みならして作られただけのようだった。
「今日はここに泊まるのですか?」
「いや、ここは城下町だ。今から父上たちのいる辺境の砦に向かう」
「辺境の砦……。ん? 父上たちのいる……?」
馬上でこてんと首を傾ける。ジークヴァルトの父親といえば、初恋の人ジークフリートしかいない。
「じ、ジークフリート様に会いに……!?」
「父上だけじゃない。母上もいる」
むっとした声音のジークヴァルトを前に、リーゼロッテは唖然となった。今から義両親に結婚の報告に行くのだ。それを理解して、脳内で声の限り叫んでいた。
(そんな大事なことは前もって言え――――っ!)
街の先に見えてきた堅牢な砦には、あっという間にたどり着いてしまった。