森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
     ◇
 大きな寝台の上、ヘッドボードに寄りかかったジークヴァルトに背を預ける。ここでも夫婦用の客間に通された。義実家でこの扱いは、なんだか気恥ずかしいものがある。

 足の間に座らされ、後ろから腹に腕が巻きつけられた。最大限に延ばしても、ジークヴァルトの足の方がなお長い。筋張った足の甲も指の長さも、自分のものとは全然違う。白いネグリジェの先から覗く素足と見比べて、リーゼロッテはくすぐったい気分になった。

「なんだかうれしそうだな」
「ふふ、ディートリンデ様とお話しできて、とてもたのしかったものですから」
「そうか」

 言いながらジークヴァルトは、不満そうにリーゼロッテをさらに抱き寄せた。後頭部に口づけが降りてくる。

「ん……ヴァルト様、くすぐったいですわ」

 身をよじっても大きな手が抱え込んできた。夜も更けて眠る準備も万端なときに、なんだか雲行きが怪しげだ。

「あ……ヴァルト様、今夜は……」
「嫌か?」
「だってここにはジークフリート様たちがいらっしゃいますし……」

 むっとした様子で、ジークヴァルトは髪に顔をうずめた。頭のてっぺんから、手加減なしに青の力を吹き込んでくる。

「ふひあっ」

 腕の中、リーゼロッテの体が飛び跳ねた。

「もう! いきなりそれはやめてくださいませ」
「父上たちは関係ないだろう?」
「だって……ここでそんなこと……」
「オレとお前はもう夫婦となった。恥ずかしいことなど何もない」
「ですが……」

 もじもじしながら唇を尖らせる。いくら新婚でも、節度は守った方がいいではないか。

「そんなに嫌か?」

 絶対引こうとしないジークヴァルトを呆れ半分振り返った。こういうときはリーゼロッテが折れるしかない。すぐ(ほだ)されてしまう自分にも呆れつつ、リーゼロッテは頬を朱に染めささやいた。

「……せめて明かりを消してくださいませ」
「この前も暗くしただろう? 次はちゃんと消してやる」
「そんな……あっ!」

 言ったが最後、あとはジークヴァルトの独壇場だ。翻弄されるまま、甘やかな夜は更けていく。 

 いつ終わったかも分からないまま意識は遠のき、やがて空は白んでいった。

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