森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「不甲斐ない奴だな。母上が死んで支配が無くなったんだ。自分の妻になる女くらい、自分で探さないか。そんなことだからアーベントロートの倅などに負けるんだ」
「そうよ、エーミール。どうしてお前はこんなにも融通の利かない真面目な子に育ってしまったのかしら」
「仕方ないですよ、母上。真っすぐで嘘のつけない馬鹿正直なところが、エーミールの愛すべき美点なのですから」
いつの間にいたのか、兄エルヴィンが壁にもたれかかっていた。ワイングラスを片手に、赤い液体をくるくるとたのしげに揺らしている。
「兄上、横になっていなくて大丈夫なのですか? それに酒など召されては、お体に障るのでは……」
病弱なエルヴィンは子どものころから車椅子で移動していた。それが今は、使用人の支えもなしに立っている。
「呆れた。エルヴィンの演技にも気づいていないだなんて。ほんと馬鹿な子ね」
「そこがまた可愛いではないですか。エーミール、お前はずっとそのままでいていいんだよ?」
「あ、兄上……本当にお体はどこも悪くないのですか……?」
「ああ、ずっと騙してて悪かったね。でもお婆様の目をかいくぐるのは、なかなかスリリングで楽しかったよ。さぁ、これからは思う存分自由を満喫しなくちゃ」
いたずらなウィンクを飛ばされて、エーミールはますます呆然自失となった。
「そうよ、エーミール。どうしてお前はこんなにも融通の利かない真面目な子に育ってしまったのかしら」
「仕方ないですよ、母上。真っすぐで嘘のつけない馬鹿正直なところが、エーミールの愛すべき美点なのですから」
いつの間にいたのか、兄エルヴィンが壁にもたれかかっていた。ワイングラスを片手に、赤い液体をくるくるとたのしげに揺らしている。
「兄上、横になっていなくて大丈夫なのですか? それに酒など召されては、お体に障るのでは……」
病弱なエルヴィンは子どものころから車椅子で移動していた。それが今は、使用人の支えもなしに立っている。
「呆れた。エルヴィンの演技にも気づいていないだなんて。ほんと馬鹿な子ね」
「そこがまた可愛いではないですか。エーミール、お前はずっとそのままでいていいんだよ?」
「あ、兄上……本当にお体はどこも悪くないのですか……?」
「ああ、ずっと騙してて悪かったね。でもお婆様の目をかいくぐるのは、なかなかスリリングで楽しかったよ。さぁ、これからは思う存分自由を満喫しなくちゃ」
いたずらなウィンクを飛ばされて、エーミールはますます呆然自失となった。