森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
     ◇
「ヴァルト様、頼みを聞いてくださって、わたくしとってもうれしいですわ」

 オーケストラの演奏が流れる中、リーゼロッテはジークヴァルトと手を取り合った。
 公爵家にも夜会用の会場がある。誰もいないダンスフロアを、ふたりきりでのびのびと踊っていた。

(はじめから一緒に踊ってほしいってお願いすればよかったんだわ)

 体力が落ちているからと、夜会には一切連れて行ってもらえない。だったらせめてダンスがしたいと駄々をこね、ようやくお許しが出たと言うわけだ。

(ヴァルト様とくっつけるし運動にもなるし、まさに一石二鳥ね)

 ストレッチと踏み台昇降の効果もあって、思った以上にステップも軽やかだ。やっぱり自転車は必要なかったと、マテアスたちには申し訳ない気持ちになってしまった。

「またこうして踊っていただけますか?」
「ああ。ただし無理のない範囲でだ」
「わたくし、ちゃんと踊れておりますでしょう? 歩くのだってもう大丈夫ですのに」
「そんなにオレに抱かれるのは嫌か?」
「い、いえ、そういうわけでは……」

 おかしな言い回しに頬が熱くなる。じっと見つめられて、恥ずかしさのあまり胸元に顔をうずめた。

 曲の終わりと共にすかさず抱き上げられる。

「疲れただろう。部屋まで送る」

 そう言って、いつも通り一歩も歩かず運ばれてしまった。

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