森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
「エラ様、先ほどはいてくださって助かりました。こんなことにお付き合いさせて、誠に申し訳ございません」
「なんて言うかマテアスもたいへんなんですね……」
「まぁわたしは慣れておりますから」
平然と話すマテアスに、こんなことが日常茶飯事なのかと驚いた。これだけ巨大な公爵家だ。それを取りまとめる立場として、それも仕方のない事なのだろう。
「さっきのご令嬢はどうなってしまうのですか……?」
「あの手の人種は温情を与えると碌なことはございません。フーゲンベルク家を謀ろうと企んだのです。伯爵家の未来は、もはや明るくはないでしょう」
「そうですか……」
貴族とは実に恐ろしいものだ。改めてエラはそう感じた。だがリーゼロッテを守る立場として、マテアスの言っていることが間違いだとは思わない。
「それにしても、この前の騎士団の訓練は勉強になりました。見ていて体がうずうずしちゃって。わたしもマテアスのように、手合わせに参加したかったくらいです」
「エラ様にお教えしているのは、あくまで護身が中心ですから。いざという時は無抵抗の方が命をつなげることも多くございます。危険を冒さないためにも、有事の際は闇雲に戦おうとはなさらないでくださいね」
エラの部屋までもう少しといった廊下で、伝令を務める使用人に声を掛けられた。エラに手紙を差し出すと、男は慌ただしく去っていく。
「父さんからだわ……筆不精なのにめずらしい」
「エデラー男爵様からでございますか? やはり大切なエラ様が心配なのですね」
そんなふうに言われ、エラは曖昧な笑みを返した。
「いえ、父はいつも緊急時にしか手紙をよこしません。もしかしたら何かあったのかも」
無作法だとは思ったが、歩きながら急いで手紙の封を開けた。マテアスも心配そうに、手紙を読むエラを黙って見つめている。
「なんだ……そう言う事」
「大事の知らせではなかったのですね? それは良うございました」
ほっと息をついたエラにつられるように、マテアスも自然と笑顔になった。
「エラ様、先ほどはいてくださって助かりました。こんなことにお付き合いさせて、誠に申し訳ございません」
「なんて言うかマテアスもたいへんなんですね……」
「まぁわたしは慣れておりますから」
平然と話すマテアスに、こんなことが日常茶飯事なのかと驚いた。これだけ巨大な公爵家だ。それを取りまとめる立場として、それも仕方のない事なのだろう。
「さっきのご令嬢はどうなってしまうのですか……?」
「あの手の人種は温情を与えると碌なことはございません。フーゲンベルク家を謀ろうと企んだのです。伯爵家の未来は、もはや明るくはないでしょう」
「そうですか……」
貴族とは実に恐ろしいものだ。改めてエラはそう感じた。だがリーゼロッテを守る立場として、マテアスの言っていることが間違いだとは思わない。
「それにしても、この前の騎士団の訓練は勉強になりました。見ていて体がうずうずしちゃって。わたしもマテアスのように、手合わせに参加したかったくらいです」
「エラ様にお教えしているのは、あくまで護身が中心ですから。いざという時は無抵抗の方が命をつなげることも多くございます。危険を冒さないためにも、有事の際は闇雲に戦おうとはなさらないでくださいね」
エラの部屋までもう少しといった廊下で、伝令を務める使用人に声を掛けられた。エラに手紙を差し出すと、男は慌ただしく去っていく。
「父さんからだわ……筆不精なのにめずらしい」
「エデラー男爵様からでございますか? やはり大切なエラ様が心配なのですね」
そんなふうに言われ、エラは曖昧な笑みを返した。
「いえ、父はいつも緊急時にしか手紙をよこしません。もしかしたら何かあったのかも」
無作法だとは思ったが、歩きながら急いで手紙の封を開けた。マテアスも心配そうに、手紙を読むエラを黙って見つめている。
「なんだ……そう言う事」
「大事の知らせではなかったのですね? それは良うございました」
ほっと息をついたエラにつられるように、マテアスも自然と笑顔になった。