森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
目の前に座るマテアスが、一枚の書類を差し出してくる。
「どうぞ、ご確認の上ご署名ください」
「ああ、確かに娘の筆跡だ。いや、しかし、昨日の今日だぞ。どうやってあの頑固娘を説得したんだ?」
言いながら平民用の婚姻届けに、父親としてサインを書き込んでいく。エデラー家が正式に貴族籍を抜けたのはつい昨日のことだ。絶対に結婚などしないと公言していたあのエラをあっさり落とすなど、マテアスの交渉術に興味惹かれるのも当然のことだった。
「わたしは誠心誠意の言葉を尽くして、結婚を申し込んだだけですよ」
「ふっ、まぁいいだろう。いずれ娘の口から真相を聞き出すさ」
「時に先日の商談の話なのですが、あれから大きく進展がありまして」
マテアスの言葉に、すぐさまビジネスモードの顔つきになる。駆け引きするように、お互いのカードを切り合った。
「ははは! エデラー家も幸先いい縁を得たものだ!」
「公爵家としても頼もしいのひと言ですよ。義父さんとお呼びしても?」
「もちろんだ! よろこんで家族に迎えよう、我が息子よ!」
胡散臭い笑顔で見つめ合いながら、ふたりはがっちりと握手を交わした。
目の前に座るマテアスが、一枚の書類を差し出してくる。
「どうぞ、ご確認の上ご署名ください」
「ああ、確かに娘の筆跡だ。いや、しかし、昨日の今日だぞ。どうやってあの頑固娘を説得したんだ?」
言いながら平民用の婚姻届けに、父親としてサインを書き込んでいく。エデラー家が正式に貴族籍を抜けたのはつい昨日のことだ。絶対に結婚などしないと公言していたあのエラをあっさり落とすなど、マテアスの交渉術に興味惹かれるのも当然のことだった。
「わたしは誠心誠意の言葉を尽くして、結婚を申し込んだだけですよ」
「ふっ、まぁいいだろう。いずれ娘の口から真相を聞き出すさ」
「時に先日の商談の話なのですが、あれから大きく進展がありまして」
マテアスの言葉に、すぐさまビジネスモードの顔つきになる。駆け引きするように、お互いのカードを切り合った。
「ははは! エデラー家も幸先いい縁を得たものだ!」
「公爵家としても頼もしいのひと言ですよ。義父さんとお呼びしても?」
「もちろんだ! よろこんで家族に迎えよう、我が息子よ!」
胡散臭い笑顔で見つめ合いながら、ふたりはがっちりと握手を交わした。