森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
「旦那様、お気持ちは理解いたしますが、王前で剣を抜いたりなさらないでくださいよ」
謹慎が解け、久々の登城を前にマテアスが釘を刺すように言った。ジークヴァルトは眉間にしわを寄せたまま、何も返事を返さない。
「わたしとて旦那様と同じ気持ちです。ですが今問題を起こしたら、リーゼロッテ様との未来がすべて台無しとなるのですよ。ここはリーゼロッテ様のしあわせを思って、どうぞ心をお鎮めください」
そんなふうに言われては、ジークヴァルトも黙って頷くしかなかった。出発前にリーゼロッテの部屋へと向かう。外へと一歩も出したくなくて、いつも行われるエントランスでの送り迎えも、必要ないと伝えてあった。
できることなら出仕になど行きたくない。とにかくリーゼロッテのそばを離れることが怖かった。
以前のように連れていくことも考えたが、政務のための出仕となると、結局はどこかの部屋で留守番させることになる。また何かあったらと疑念が頭をもたげて、王城になど近づけられるはずもなかった。
「ヴァルト様、お気をつけて行ってきてくださいませね」
出迎えた笑顔に、波だつ心が穏やかになる。頬に触れるとはにかみながら、小さな手を重ねてきた。かき抱いて離したくなくなる。閉じ込めて、これ以上、誰の手にも届かぬように。
「あの、ヴァルト様……わたくし、お戻りのお出迎えだけでもしたくって」
「駄目だ、戻ったらすぐ顔を見に来る。それまで部屋からは一歩も出るな」
「……分かりましたわ」
仕方なさそうにリーゼロッテは微笑んだ。自由を奪う行為も、彼女は寛容に受け入れる。
マテアスには何度も窘められたが、それでも退けない自分がいた。目の行き届かない不測の事態を思うと、脅迫観念のように失う恐怖が襲い来る。
「旦那様、お気持ちは理解いたしますが、王前で剣を抜いたりなさらないでくださいよ」
謹慎が解け、久々の登城を前にマテアスが釘を刺すように言った。ジークヴァルトは眉間にしわを寄せたまま、何も返事を返さない。
「わたしとて旦那様と同じ気持ちです。ですが今問題を起こしたら、リーゼロッテ様との未来がすべて台無しとなるのですよ。ここはリーゼロッテ様のしあわせを思って、どうぞ心をお鎮めください」
そんなふうに言われては、ジークヴァルトも黙って頷くしかなかった。出発前にリーゼロッテの部屋へと向かう。外へと一歩も出したくなくて、いつも行われるエントランスでの送り迎えも、必要ないと伝えてあった。
できることなら出仕になど行きたくない。とにかくリーゼロッテのそばを離れることが怖かった。
以前のように連れていくことも考えたが、政務のための出仕となると、結局はどこかの部屋で留守番させることになる。また何かあったらと疑念が頭をもたげて、王城になど近づけられるはずもなかった。
「ヴァルト様、お気をつけて行ってきてくださいませね」
出迎えた笑顔に、波だつ心が穏やかになる。頬に触れるとはにかみながら、小さな手を重ねてきた。かき抱いて離したくなくなる。閉じ込めて、これ以上、誰の手にも届かぬように。
「あの、ヴァルト様……わたくし、お戻りのお出迎えだけでもしたくって」
「駄目だ、戻ったらすぐ顔を見に来る。それまで部屋からは一歩も出るな」
「……分かりましたわ」
仕方なさそうにリーゼロッテは微笑んだ。自由を奪う行為も、彼女は寛容に受け入れる。
マテアスには何度も窘められたが、それでも退けない自分がいた。目の行き届かない不測の事態を思うと、脅迫観念のように失う恐怖が襲い来る。