森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
◇
「おぉおうおぅおう、ロッテぇ、不甲斐ないオレを許してくれぇえ……!」
ソファの上、リーゼロッテを膝の間に座らせた状態で、男、イグナーツは号泣し続けている。
「あの、あなたは、イグナーツ父様……なのですね?」
確かめるように問うと、イグナーツの涙が一瞬だけひっこんだ。
「こんなオレをまだ父と呼んでくれるのか……なんて、なんていい子なんだ、リーゼロッテぇえぇぇ……!」
耳元での大音量に、思わず首をすくませる。それでも髪に顔をうずめ抱きしめてくるイグナーツを、リーゼロッテは振り払うことはできなかった。
「イグナーツ様、いい加減泣き止んでくださいよ」
呆れる声音のカイが手慣れた手つきで紅茶をサーブしてくる。
「カイ様……」
「積もる話もあると思うからオレは席を外すよ。ジークヴァルト様はどこ?」
「旅の打ち合わせにと……」
「そっか、ちょっと探してくる。先に言っとかないと、あとで何されるか分からないしね」
ウィンクをひとつ残して、カイは船室を出ていった。実の父親と取り残された中、リーゼロッテは何を言ったものかと言葉を探した。
「マルグリットの気配がする……」
相変わらず髪に顔をうずめたまま、くぐもった声でイグナーツが言った。においを堪能するように、何度も何度も鼻から息を吸い込んでいく。
「……マルグリット母様の力が、今もわたくしを守っていますから」
「ああ……あの日、マルグリットはずっとロッテの心配をしていた……」
号泣はすすり泣きに変わっていた。
「すまない、リーゼロッテ……オレはお前を捨てた。あの時も、今も……オレにはマルグリットしか選べない……」
「イグナーツ父様……」
「おぉおうおぅおう、ロッテぇ、不甲斐ないオレを許してくれぇえ……!」
ソファの上、リーゼロッテを膝の間に座らせた状態で、男、イグナーツは号泣し続けている。
「あの、あなたは、イグナーツ父様……なのですね?」
確かめるように問うと、イグナーツの涙が一瞬だけひっこんだ。
「こんなオレをまだ父と呼んでくれるのか……なんて、なんていい子なんだ、リーゼロッテぇえぇぇ……!」
耳元での大音量に、思わず首をすくませる。それでも髪に顔をうずめ抱きしめてくるイグナーツを、リーゼロッテは振り払うことはできなかった。
「イグナーツ様、いい加減泣き止んでくださいよ」
呆れる声音のカイが手慣れた手つきで紅茶をサーブしてくる。
「カイ様……」
「積もる話もあると思うからオレは席を外すよ。ジークヴァルト様はどこ?」
「旅の打ち合わせにと……」
「そっか、ちょっと探してくる。先に言っとかないと、あとで何されるか分からないしね」
ウィンクをひとつ残して、カイは船室を出ていった。実の父親と取り残された中、リーゼロッテは何を言ったものかと言葉を探した。
「マルグリットの気配がする……」
相変わらず髪に顔をうずめたまま、くぐもった声でイグナーツが言った。においを堪能するように、何度も何度も鼻から息を吸い込んでいく。
「……マルグリット母様の力が、今もわたくしを守っていますから」
「ああ……あの日、マルグリットはずっとロッテの心配をしていた……」
号泣はすすり泣きに変わっていた。
「すまない、リーゼロッテ……オレはお前を捨てた。あの時も、今も……オレにはマルグリットしか選べない……」
「イグナーツ父様……」