森の魔女と託宣の誓い -龍の託宣5-
「あの、クリスティーナ様。マンボウは卵を産めるので、アルベルト様の非常時はなんとかそれでしのいでいただけませんか……?」
「マンボウは雄鶏でしょう? 卵なんて産まないわ」
「いえ、本当に産めるんです! ね、マンボウ」
生存の危機を感じたのか、マンボウは激しく首を縦に振った。目を回しそうなほどのヘッドバンキングぶりだ。
半信半疑のクリスティーナを前に、マンボウはさっとおしりを差し出した。
前傾姿勢で尾羽を震わせ、見る見るうちにおしりの穴から白い玉が顔を覗かせた。草むらにほかほかの卵が、ぽとんと産み落とされる。
「オエっ!」
頚だけ振り返って必死にアピールするマンボウに、リーゼロッテは援護射撃を繰り出した。
「ほら、このように雄鶏っぽくても卵が産めるのです。マンボウを食べてしまってはもったいないですわ!」
「それもそうね。じゃあ、この卵はアルベルトの昼食になさい」
「食べるのはやはりわたしなのですね……」
遠い目をしてアルベルトが言う。
「当たり前じゃない。わたくし鶏の卵など食べないわ」
晴れた新緑の庭を、クリスティーナの涼やかな笑い声が響き渡る。
その日の昼食、アルベルトにだけ半熟卵が提供された。ビンゲンのソースがたっぷりと添えられていたのは言うまでもない。
「マンボウは雄鶏でしょう? 卵なんて産まないわ」
「いえ、本当に産めるんです! ね、マンボウ」
生存の危機を感じたのか、マンボウは激しく首を縦に振った。目を回しそうなほどのヘッドバンキングぶりだ。
半信半疑のクリスティーナを前に、マンボウはさっとおしりを差し出した。
前傾姿勢で尾羽を震わせ、見る見るうちにおしりの穴から白い玉が顔を覗かせた。草むらにほかほかの卵が、ぽとんと産み落とされる。
「オエっ!」
頚だけ振り返って必死にアピールするマンボウに、リーゼロッテは援護射撃を繰り出した。
「ほら、このように雄鶏っぽくても卵が産めるのです。マンボウを食べてしまってはもったいないですわ!」
「それもそうね。じゃあ、この卵はアルベルトの昼食になさい」
「食べるのはやはりわたしなのですね……」
遠い目をしてアルベルトが言う。
「当たり前じゃない。わたくし鶏の卵など食べないわ」
晴れた新緑の庭を、クリスティーナの涼やかな笑い声が響き渡る。
その日の昼食、アルベルトにだけ半熟卵が提供された。ビンゲンのソースがたっぷりと添えられていたのは言うまでもない。