野いちご源氏物語 四二 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
(かおる)(きみ)が不思議なほどすばらしい香りでいらっしゃるので、兵部卿(ひょうぶきょう)であられる(さん)(みや)様は負けたくないとお思いになる。
上等なお香をお着物に()きしめるだけでなく、ご自分でお香を調合(ちょうごう)するのを日課(にっか)になさっている。
ご自宅である二条(にじょう)(いん)でも、香りのする花ばかりを大切になさって、他の植物には見向きもなさらないほどよ。
とにかく(にお)いにこだわっておられるので、この兵部卿の宮様のことは「匂宮(におうのみや)様」とお呼びいたしましょう。
世間は匂宮様を、少しなよなよとして優美(ゆうび)すぎるように思っているみたい。
源氏(げんじ)(きみ)は、こういうふうにひとつのことにこだわるようなことはなさらなかったのだけれど。
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