贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
補佐官より手渡されたロイヤルブルーのガウンを羽織る。


「オギャー、オギャー」
赤子の泣き声が聞こえる先を見ると、白いレースの清楚なドレスを着たカロリーヌが空色の髪にアメジストの瞳をした赤子を抱いていた。

「オスカー王太子殿下、抱いてください。殿下の子です」
誰がこの強かで醜悪な下心を持つ女をこの大切な日に王宮の奥まで引き入れたのだろう。

今日はずっと待ち侘びた愛しいシェリルとの結婚式で、彼女が成人になった誕生日である。
シェリルが赤子だった弟を愛おしくて仕方ないと言っていたが、僕は目の前の赤子を煩わしい塊としか感じない。

(やっぱり、おかしい。自分の子とは思えない)

それに、タイミングよく出産をして、元気に現れるカロリーヌにも不自然さを感じる。夜伽の座学の延長で学んだ知識では、出産は馬車に轢かれるくらいの苦痛がありしばらくは起き上がれないと聞いていた。

「その子が僕の子だとは信じ難い」
「何を言ってるのですか? この子は間違いなくアベラルド王家の血を引く王族の子です」

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