贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「危ない。赤ちゃんはガラス細工のように繊細なんですよ。私も子を持つのは初めてで不慣れですが、協力してこの子を育てましょうね。シェリル様も歓迎してくれますわ」

女の口からシェリルの名前が出され、頭に血が上り気がつくと彼女の首を締め上げていた。

「く、くぅ⋯⋯」

「何もかも上手くいったと、したり顔をするな。その子は血縁検査が終わるまでは丁重に扱う。お前は今すぐ僕の目の前から消えろ!」

首からそっと手を離すと、女は静かに子を床に置き不敵な笑みをして逃げるように去っていった。

「オギャー、オギャー」
ひたすらに泣く赤子を前に僕はなす術もなく跪く。

「どうしたらいいんだ。どうしたら⋯⋯」

シェリルを失う恐怖と目の前の生き物をどうすれば良いのか分からなくて追い詰めらていた。

「オスカー」
突如、頭上から震える声がして顔を上げると僕を不安そう見下ろす母上がいた。
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