贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
真っ赤な夕陽に照らされ、鈍い光を放つ刃がこのアベラルド王国終わりと始まりを告げる。私の命の終わりが民の明日の希望になるのだ

「贅沢王妃に鉄槌を!」
「パンを食べられなければ、マカロンを食べろだとふざけるなー」
「国民の苦しみを知れ! 俺たちから搾取するだけ搾取する悪魔が!」
「世界の中心がお前だと思うな! 体だけの馬鹿女が!」

悪魔だの、悪女だの罵られる私。

私の生活は贅沢だったのだろうか。
それは全体の九割を占める平民の生活との比較で?
私は王家の財政が厳しい中、権威を落とさぬよう努めていた。きっと視野が狭かった。

王妃になる資質が足りてなかったのだ。
私はただ王室で生き延びるのに、愛するオスカーの気を引き続けるのに必死だった。

今思えば、自分の事ばかり。特権階級に生まれた以上、富を享受するのと引き換えに民に心を渡すべきだった。

ふらついて思わず、執行官の足を踏んでしまう。

「ご、ごめんなさい。わざとじゃないの」
執行官は無表情で無反応だった。

「何か言い残すことはあるか?」

革命の英雄ユリウスが私に無表情で尋ねる。

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