贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「今宵、シェリル嬢が私のものになってくれるのですか?」

私は盛大に溜息を吐いた。女の武器でもある髪を切っても、未だ私は誤解されやすいようだ。私は歳の割に成熟したような娜っぽいルックスのせいで、体を武器にしていると勘違いされやすい。私がオスカーの寵愛を一心に受けているのも、女を武器にしていると思われているのかもしれない。私たちは精神的に深く繋がっているのに悔しい限りだ。

「私の全ては私のものではありません。オスカー王太子殿下のものです。私たちが差し出せるのはこのアベラルド王国の技術です」

「技術?」

私は首を傾げるフレデリックに、ヘッドリー領地の子供たちが石に素晴らしい彫刻をしていたのを話した。

「子供が?」と少し馬鹿にしたように笑われたが、子供さえも一流芸術家のような手先の器用さを持っている事を丁寧に伝えた。石や流木を削ることくらいしか娯楽がない哀れな子たちが知らずに身につけた手の器用さ。私は自分たちが打ち込んだことがお金になる事を彼らに伝えたい。

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