贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「シェリル嬢はバロン帝国との貿易協定をできるだけ早く正式に結びたくはないのですか? 友人の婚約者にも挨拶したいですし、私の方は大丈夫ですよ」
柔らかく微笑むフレデリック。私への好意はうっすら感じるが、それだけで一ヶ月もの時間を使ってくれると言う事だろうか。それとも、極端にバロン帝国に有利な貿易協定を結ばれたりするのだろうか。

いずれにしろ帝国の皇太子の申し出を私が断る訳には行かない。

「フレデリック皇太子殿下、お心遣いに感謝します」
道中、小麦の生産で有名なモンテラ領地も通る。処刑される時に、国民から「パンを食べられない」との声があった。この機会を生かし、この国の様々な問題を解決できれば嬉しい。

「それでは、シェリル嬢。明朝には出発致しましょうか?」
私はここに来るまで馬車に乗りっぱなしで来たが、帝国の皇太子にそんな事はさせられない。途中、宿を取りながら帰途につくならば明朝に出たほうが良いだろう。

ヘッドリー領地の邸宅でフレデリックをもてなし、早朝旅立つ前に領地を散歩する。結局、殆ど視察が出来ていない。
(バロン帝国と貿易ができるんだもの、前進してるはず!)

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