贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「シェリル・ヘッドリー侯爵令嬢ですよね。こんなお遊びの冠作っている暇があったら、私たちの生活何とかしてくれませんか? ご自分は宝石に囲まれて毎日のように薔薇の花束を貰っている癖に、平民が野草の冠で喜ぶのを見て楽しむなんて本当に悪趣味ですね」

「私は、そんなつもりじゃ⋯⋯」

その女は私を申し訳なさそうに見つめる少女の手を引くと、「馬鹿にすんじゃないわよ」と言い捨てて去って行ってしまった。
貴族に囲まれて過ごしていたら気が付かなかった。社交界の華と呼ばれ、オスカーから溺愛される毎日。私は既に領民にさえ嫌われていた。

ふわっと芳香なブゼア調の香りに包まれたかと思うと、後ろからフレデリックが私を抱きしめている。

「シェリル嬢、大丈夫ですか?」
「恥ずかしいところをお見せしてしまいましたね。私、民にかなり嫌われているみたいです。富を享受するばかりで、彼らの生活を顧みなかったのだから当然ですね」
フレデリックは後ろから私の顔を覗き込んで来る。

「嫌われるのは嫌ですか? 私なんて貴族からも嫌われてますよ」
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