贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「ふふっ、何もしてこなかった自分が嫌なだけです。ヘッドリー領を豊かにするにはどうしたら良いと思いますか?」

「隣のモンテラ領地のように農業をしてみてはどうですか? 良い土壌と温暖な気候がありますし、二期作にも適していると思います」

フレデリックは隣接するヘッドリー領地だけでなく、モンテラ領にも精通しているようだ。大帝国の皇太子になる人間は他国の地方まで把握しているものなのかもしれない。
「フレデリック皇太子殿下、私は殿下の事が好きですよ。物知りで頼りになる上、お優しいです」

フレデリックは私の言葉を聞くなり、私から離れ少し距離をとる。
「⋯⋯私はシェリル嬢の鈍感なところが好ましいと思ってますよ。では、アベラルド王宮に向かいましょうか」

この時のフレデリックの言葉の意味を私が知るのは二年後の事。急ぎアベラルド王国を建て直したかった私は力のある男の手を迷わずとってしまった。

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