贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「シェリル、約束通りの貿易協定を結んで来たら、ご褒美に舞踏会で踊ってくれる?」
「もちろんよ、フレデリック」
一曲踊ればバロン帝国と対等な協定が結べるなんてラッキーだ。私は胸が弾んだ。

「そうだ、シェリルにプレゼントがあるんだ」
彼が手を挙げると、後続の馬車から出てきた従者が大きなシルバーにエメラルドのリボンを巻いた箱を持ってきた。

「もしかして、中に入ってるのは野犬じゃないでしょうね」
「暴れ過ぎてて、こんな箱には入らないよ」

私はスッとリボンを解くと、中には真っ赤なドレスが入っていた。銀糸の刺繍も繊細で、胸元の大きなグリーンダイヤモンドが印象的だ。

最近、バロン帝国では特にジュエリーをつけなくても、華やかな印象を与えるドレスが流行していると聞いていたが本当だったようだ。ずっと一緒にいたのに、私の知らぬ間にフレデリックがドレスを用意していたなんて驚きしかない。

「こんな高価なものは頂けないわ。それに⋯⋯」
「どうして? このグリーンダイヤモンドはルイナ王国から取り寄せたものだよ」

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