贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

10.革命の英雄、ユリシス

フレデリックは私を横抱きにし二階の窓から飛び降りた。私は落ちないように彼の首にしっかりとしがみつく。

夜空に月明かりに照らされ、銀髪が舞うと髪につけていたパープルダイヤモンドのピンが取れるのが見えた。
私が十歳の時には結婚する事が決まっていた私とオスカー。

政略結婚ではなく、自分たちの間には愛と絆があると改めて彼からプロポーズされたのは十二歳の私の誕生日。その時に貰ったパープルダイヤモンドのピンは気に入っていて、大切な時には必ずつけるようにメイドのリリアに伝えてあった。
今日は間違いなくずっと待ち侘びだ大切な日だった。

『永遠の絆』を意味するダイヤモンドのピンが地面に落ちていくのが見える。

(さようなら、オスカー)

私たちはそのまま用意されていた帝国の紋章の付いた白い馬車に乗り込んだ。私たちの馬車が城門を潜ったところで、王宮の灯りが一斉につくのが分かる。

「どうなってるの?」
馬車から窓越しにその光景を見て、思わず漏れた声にフレデリックが微笑みながら応えた。

「魔法使いを同行させてるんだ」

バロン帝国の軍事力が圧倒的な理由の一つ、魔法使い。
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