贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「お断りします。正直、綺麗な金髪もアメジストの瞳も素敵で、貴方に抱かれたいと思いました。でも、妻をいくらでもとって良い身分の方に嫁ぐのは嫌です」

まだ幼い十歳の彼女だが、妙な色気があった。「抱かれたい」などと言われて頭が沸騰する。

「⋯⋯側室は娶らない。そう約束すれば僕と婚約してくれる?」

彼女は俺の言葉にニコッと笑った。

「私はお断りすると申し上げましたよ。だって、王宮に嫁いだらレナルドに会う時間が減ってしまうでしょ」

我慢できないとばかりに走り出して邸宅内に戻る彼女。風に揺れるキラキラする銀髪に僕は気がつけば手を伸ばし、届かないことに気が付き握り拳をつくる。

セレスタン国王に直談判してシェリルとの婚約したいと迫った。勝手に無理やり婚約者にした事を彼女がどう思っているか気になり、夕刻に再びヘッドリー侯爵邸を尋ねた。

先程、二人でデートした庭は夕陽が染めて違う顔を見せていた。
それはシェリルも同じで、昼間のそっけない感じではなく甘い雰囲気を醸し出している。

「シェリル、僕とゆくゆくは結婚する事をどう思ってる」
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