贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
「オスカー・アベラルド王太子殿下に、カロリーヌ・ダミエがお目に掛かります」

片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げカーテシーの挨拶をするが一目で洗練されてないのが分かる。シェリルは僕の前で砕ける事はあっても、誰よりも優雅な貴族令嬢だ。それは僕の隣に立つ女として彼女が妃教育に打ち込んだ結果。心配になるくらい猪突猛進で物事を徹底的に頑張るシェリルと比べると、他の女が計算高く小手先で生きている醜い生き物に感じる。

「こんな非常識な時間に何のようだ?」
「エレーヌ王妃殿下からのご命令で、オスカー王子殿下の夜伽の実技練習に参りました」

ここまで彼女が案内された理由を理解する。カリキュラムにある夜伽の実技に関して僕が拒否した事に母は顔を顰めた。シェリルが王族のカリキュラムに物申すのは傲慢だと非難した。実際、母は子宝になかなか恵まれなくて苦しんだ。それ故に、僕まで側室を娶らない約束をしている事に関しても心配もしていた。

母はずっと石女と陰口を言われていたらしいが、僕は子が出来ずらかった原因は父にあるのではないかと考えていた。

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