【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
「あそこにいるのが、私たちの子供。私はもうお別れしたつもりだったから、一人で育てていこうと思っていたんだけど、偶然イグナートと再会して……。それであらためて話をして、家族になろうって」

「まぁ、双子ちゃんなのね……! 二人にそっくりで可愛いわね」

 窓辺にやってきたアナスタシアが、子供たちを見て目を細める。しばらくして振り返った彼女は、ライザを見て眉尻を下げた。

「一人で子供を育てていくなんて、大変だったでしょうに……。でもここで暮らすということは、伯爵家の皆様も受け入れてくださったということだものね。本当によかったわ」

「えぇ、伯爵ご夫妻も優しく迎えてくださって、感謝しているの」

「そしてイグナート様は、もともと別れたつもりはなかったのでしょうね。帰還してすぐにライザの家へ向かったみたいだし、退職を知った時のイグナート様の顔は、この世の終わりみたいだったわ。きっと必死で探したのねぇ」

 当時を思い出しているのか、アナスタシアが小さく肩を震わせた。再会して即ライザの居場所を突き止めたイグナートの行動力を思えば、確かに必死だったのは分かる。

 再び庭で遊ぶ双子に視線を向けたアナスタシアは、一度深い息を吐くと振り返り、ライザを見つめた。

「ねぇ、ライザ。念のために確認するんだけど、あなたは今、幸せ? 子供のことを抜きにして、ライザ自身は幸せだと思っている?」

 真剣な表情を向けられて、ライザはまっすぐにその視線を受け止めた。きっと彼女は、ライザが子供たちの将来を思って仕方なくイグナートと結婚するのではと案じているのだろう。一度別れたつもりでいることや、その後に妊娠が判明していることから、アナスタシアが心配するのも無理はない。

「ありがとう、アナスタシア。子供のためだけじゃなく、私自身も彼と一緒にいたいと思ったの。だから今、すごく幸せよ」

「それなら、よかったわ。イグナート様は真面目な方だし、大丈夫だとは思っていたけれど、やっぱり少し心配になってしまったの。差し出がましいことを言って、ごめんなさいね」

 申し訳なさそうに眉を下げるアナスタシアに、ライザは大丈夫だと笑う。ライザ自身のことを心配してくれる友人の存在は、とてもありがたく幸せなものだ。
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