私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

19章.お呼ばれ

(裏切り者、か・・・)


体育祭を終えてからというものの、この存在が頭を悩ませていた。


実際、東に出入りする西の人間も増えて来ており皆はその対応に追われていた。そのおかげで水嶋の監視の目も緩くなって動きやすくはなっているんだが。


「ドレスですがご希望のものはございますか?」


横から聞こえる声にハッとする。


「極力露出しないものでお願いします。腕もそんなに出したくないんです」


慌てて返事をした私に頷き、ドレス選びに向かういわゆるお手伝いさんの姿を横目で見守る。





いかんいかん。


今日ばかりは余計なことに気を取られないようにしないと。


なにせ今日は、谷垣の家のパーティーにお呼ばれしているのだから。


記憶を巻き戻し思い出すのは先日のやり取り。


「来週の土曜日、今年も家の集まりがあるんだ。今回も皆、来てくれないだろうか・・・?」


それは皇の家で夕飯をご馳走になっていた時の事だ。


話を聞けば谷垣の誕生日には毎回ホテルを貸し切ってお祝いするパーティーがあるのだとか。


毎回皆は参加しているのだそう。


ちなみに誕生日当日はパーティーがあるため、別日にこのメンバーだけでお祝いもしているのだとか。ありがたいことに私も参加させて貰えてプレゼントを渡すことができた。
< 100 / 119 >

この作品をシェア

pagetop