私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「情報とお金で解決できるものは多いから」


ましろちゃんはそう口にしてまたアイスティーを飲む。


「そっか、怪我しないようにね」


とあたしは笑う。


きっと無茶しないでねなんて言葉に頷いてはくれないんだろうなと思うから。


「どうりで奏について詳しかった訳だ」


ソファに背中を預けて文くんは天井を見上げる。


「無闇矢鱈に調べるつもりはないわ。けど今回の件で不快にさせたなら謝るわ」


「別にー?感謝こそするけど責めるつもりなんてこれっぽっちもないよ。けど、いいの?」


ソファに置かれたクッションを抱きながら寛いでいたはずの奏くんはいつの間にかまっすぐましろちゃんを捉えて言葉を選ぶ。


試すようなそんな表情で。


「お互いの事に踏み入ろうとしてるよね。ましろん嫌がってたでしょ」


俺はもう隠し事なんてないからいいけどねー。と再度飲み物を口にする。


正直この空気は好きじゃない。細かく言えばどっちの立場にもなりきれない自分自身が。


「今更よ。先に踏み込んできたのはそっちでしょう?」


「・・・ノラだと明かしたのは外部の協力を得て君について知ることは難しいと理解させて諦めさせるつもりだったのか?」


「正解」


外部というのは情報屋なんかのことだよね。昴くんが調べるのに使ってた手もましろちゃんには通用しない、そういうことな気がする。
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