私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「なら直接お前から聞き出すまでだ」


あの日と同じような目をして皇は呟く。


ああ、そうくると思ってたよ。


「散々踏み込んでくれたんだもの。そっちだって覚悟は決まってるんでしょうね」


なら抗うぐらいしたっていいだろう?


「私は簡単には行かないわよ?」


『なら、私は・・・?』


あの中庭でのやり取りを思い出す。


お前達について知りたいと思わせたのが悪いんだ。性分には合わないがそちらがそうくるのなら、私だってお前達を暴いてみせるよ。


時間稼ぎにしかならないのだと理解はしているが、これからどんどん私はお前達に暴かれる。


先程の路地裏でのやり取りを思い出してよくわかった。


もしかする深いところまで。


やはり前回保険を掛けていたのは正解だな。


暫くは私がノラであるために西について詳しいのだと納得しておいてほしい。







「改めてよろしくね」







契約から始まった関係が明確に変わった瞬間だった。


そんなやり取りを見ていた店主、ショウは淡い期待をより確かなものにしていく。


あの日得た確信はきっと間違えではなかったのだと。


その関係に名前を付けることなんて出来ないが、年端もいかない少年少女らに願いを込める。



いくつもの秘密を抱える少女を救い出してくれることをひっそりと願う。







まるで流れる星に願いを託すようにして。
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