私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
家の主であるましろちゃんが寝込んでるわけだし夜は帰るか悩んだんだけど、


「自分の為に来てくれた人を無下に帰すようなことはご主人は嫌うと思うから。泊まっていってもいいんじゃない?この居候がいるんだし増えたって変わんないでしょ」


と橘さんが言ってくれてましろちゃんの事が心配だったしお言葉に甘えて客室を使わせてもらってる。


「さっきゅん居候呼び止めてッ!?」


って言ってた奏くんには笑っちゃったなぁ。


「ふふ」


「・・・っん、」


「ましろちゃん?ごめん、起こしちゃった?」


えっと、ひとまず汗を拭いて熱さまシートも貼りかえて・・・お水も飲むかな?


ましろちゃんはまだぼんやりとしてるみたいでこちらに腕を伸ばしながら何かを口にする。


その手をぎゅっと握ればあたりまえだけど温かくて。いつもひんやりとしてるから少し不思議な感じ。


「ーーー、」


三文字?なんだろ・・・、あたしかな?だったらうれしいけどなぁ。


「なあに?」


「ーーー、いか・・・ない、で」


「・・・行かないよ。ここにいるからね」


あたしの言葉に安心したのかましろちゃんは目を瞑って眠りについた。その寝息はこの期間で一番穏やかなもので自然と笑みが零れる。


すっかり日も沈んで暗くなった部屋。凄く静かで周りと時間の流れが違うんじゃないかって思っちゃうこの空間で、あたしよりも細くて長い手を握る。まるで祈るように。





「早く良くなりますように・・・」
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