私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ








「こほっ、」


随分と懐かしい夢を見た気がする。


いつまでも浸っていたいような、そんな夢。


もう内容なんざ思い出せないけどな。夢には私の体質は影響されないらしい。





体の怠さ、喉の痛み、そして右手を包む温かさを感じながら目を覚ます。見慣れた天井、そして右手の先に視線をやれば眠る優里がそこには居て。


なぜこんな事になっているのかと最後に残っている記憶を引っ張り出す。


依頼をこなした帰り、言う事を聞かない体をなんとか動かしてベッドに入ったと思うが・・・。


そこから記憶がないこと、額の熱さまシート、現状を理解するには十分だった。


いや、しっかりと鍵はかけたのだからそれは・・・。


ノエルか。


薺さんやヒメ達に、何かあった時の為にと言われ首輪に仕込んでいたからそれだろう。賢すぎるのも困りものだな。


「・・・水飲みたい」


乾いた喉に手を当て周りを確認するが近くにあったペットボトルは既に空だった。


優里を数秒見つめ、私は部屋を出る事に決めた。


「皐月」


自室の扉を開け、暗くなった廊下に呟けば数秒もすれば向かいの部屋の扉が開かれる。


「ご主人様起きて大丈夫なの」


「ええ。起こしちゃってごめんね」


「ううん。そろそろ交代しようと思ってたからへーき」


「なら、優里を頼める?寝ちゃったみたいなの。だいぶ良くなったし皐月もそのまま寝て」
< 154 / 176 >

この作品をシェア

pagetop