私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「!?」


その姿にゆうちゃん以外困惑してたと思う。


いやだって、制服以外のましろんってパーカーにズボンの動きやすさ重視と言いたげな格好しか見た事ないから。


そんな、普通の女の子の格好もするんだな、って・・・。


浮いてるなんてことはなくて、むしろ凄く似合ってて周りの人達だって声を掛けようかソワソワし始めてるのが見て取れる。


初めて見る君に胸の奥がちくりと傷んで朔夜の事言えないなと苦笑する。


だって今から会う人はお洒落をしたくなるぐらい大切な人ってことでしょ?


やっぱり俺もましろんに絆されてる。それも思いの外重症な程に。





「奏、アレは付けてきましたか」


「えっ、あー付けてきたよ」


「アレって?」


「後を付けるだけでは面白味が足りないと思いませんか?」


昴は鞄からノートパソコンとイヤホンを数ペア取り出し片耳にそれぞれ付けるよう指示する。


アレ、というのはいわゆる盗聴器というもので。


昨日相談した時に以前渡しておいた盗聴器を仕掛けておいてくださいと言われたため今日の朝なんとか付けてきた。


前に渡された時はもしもの時用って、と笑ってたけどまさか使い道があったとは・・・。


ましろんに申し訳なさを感じながら俺はイヤホンをはめた。
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