私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「やっぱりこれってデートなのかな」


文が二人を見つめて呟いた。


「お似合いな二人だとは思うが・・・」


「あたし達ってお邪魔、かな。帰った方がいいのかな・・・」


ゆうちゃんの言葉はごもっともで。はたから見た俺ってどれだけ哀れに見えるんだろ。


そう考えると溜息をつきそうになるけどなんとか飲み込んで皆に帰ろうか提案をしようとする。


そんな時だ。また二人の会話が聞こえたのは。


『色々回ったけど、他に行きたいところある?』


『他には特に。・・・そろそろ家に行きますか?』


『そうだね。タクシーを捕まえる時間考えたらそろそろ移動した方が良さそうだ』


「い、家って・・・」


「いや、お付き合いしてるなら家に行くことだって・・・」


困惑する俺達に追い討ちをかけるかのように昴の冷たい言葉が響く。





「・・・あの男、左手の薬指に指輪をしています」





「え、指輪って」


相手は既婚者ってことで・・・。


急いで男の指元を確認する。そこには確かにキラリと輝く指輪があって。


不倫、という言葉が頭に浮かぶ。


いや、ましろんが進んでそんな事するはず・・・。


ならあの男に騙されてる?


何が正しいのか分からないままタクシー乗り場に移動する二人を追いかける。


幸い何組か並んでいるようでタクシーに乗るまでは時間がありそうだ。
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