私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
その間に村田さんを呼んでもらって車に乗り込む。


「わ、若。何事ですかこれ」


「いいからあのタクシーを気付かれないように追ってくれ」


「はぁ、」


走る事十数分。道はどんどん知ってる道へと変わっていって頭は益々混乱するばかり。


これってましろんの家の方向だよね?


家ってましろんの家ってこと?う、うわぁ俺ってばどういう気持ちで帰ればいいの?


薄々気付いていた通り、タクシーはましろんの家の前で止まり二人が降りてくる。





首を横に振って余計な思考を振り払う。今はそれどころじゃない。


ましろんが騙されてるなら止めないと!


先に入って行った二人を追いかけて急いで玄関を開ける。


「綾波!」
「ましろん!」





そこにはキョトンとした二人が。


「どうしたのよそんなに慌てて入ってきて。まぁ丁度良かったわ水嶋には紹介しときたかったし」


「えっと、君達はこの子のお友達かな」


でもその後の態度があまりにも冷静で。


紹介って何?彼氏だからちょくちょく遊びに来るかもとか?


「えっと、そうですっ!」


「っ、」


落ち着け、冷静になるべきだ。


困惑したままの俺たちの代わりに答えてくれたゆうちゃんには感謝だ。


そうなんだと手を合わせて納得した様子の男は一歩前に出て軽く頭を下げる。








「僕は綾波 薺。────妻がいつもお世話になってます」


にっこりと笑顔を浮かべて、なんとか落ち着こうとする俺にとんでもない爆弾をこの男は投げてくれたんだ。
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