私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
変なところで安心感を覚えながら委員長の姿を追う。


『現在先頭を走るのはE組の佐倉選手!その後ろにC組の小柳選手が食らいつく〜!!』


えっと、佐倉さんって陸上部の部長さんだよね?


そんな人に続いて2位なんて委員長凄いよ。


2位をキープしたままバトンが橘さんに渡る。


次、あたしだ・・・。


大丈夫、あんなに練習したもん。


タイムを縮める練習はもちろん、ここ数日はましろちゃんのお家にお邪魔して橘さんとバトンパスの練習も沢山したんだもん。


大丈夫、大丈夫。





「優里。大丈夫だ、俺達を信じろ」


「・・・うんっ!」


ほっぺを思いっきり両手で叩いて余計な考えを払う。


橘さんとE組の人は接戦だったけど、最後の瞬間、あたしにバトンを渡すタイミングで僅かに前に出ていた。


「頼んだから」


「うんっ」


今、あたし達が1位だ。


何度も失敗したバトンパスもミスらなかった。


四番とアンカーにやっぱり朔夜くん達はいた。だからこのまま、今のうちに距離を離さないとっ。


息が上がって苦しい。


走り出したばかりなのにもう手足の感覚がない。


今変な走りしてない?


頭が真っ白でよく分かんない。


だけど、ましろちゃんに繋げなきゃっ。


バトンを握る右手に力を込めて必死に腕を振る。
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