俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
今さらながらに焦っていると、ラウンジスタッフの男性が近づいてきた。

すると男が席を立つ。どうやらハンティングは諦めたようで、注意を受ける前に速足でラウンジを出ていった。

ラウンジスタッフは踵を返し、梨乃はホッとして助けてくれた彼に日本語でお礼を言う。

「ありがとうございました。日本の方なんですね。ニューヨークにお住まいなんですか?」

当たり障りのない質問をしたつもりだったのに、呆れ顔をされる。

「このラウンジで飲んでいたんだから、宿泊客に決まっているだろ」

「誰でも利用可能だと聞いていたので」

「地元の人は値段が高く観光客で満席になるような店を選ばない。夜景も見飽きているだろう」

「そ、そうですか。英語がご堪能なようなので、それもこちらにお住まいなのかと思った理由です」

なんとか会話していた梨乃とは違い、彼の英語は自然で流暢だった。

その理由は本当だが、褒めれば気分を直してくれるのではないかという打算もある。

けれども今度は白けたような目をされた。

「仕事で来ているのに、話せなければビジネスにならない。日本人の英語力を、自分を基準にして考えるな」

日本語で話しているというのに、彼とはまともな会話ができそうになかった。

(なんかこの人、感じ悪い)

礼儀として浮かべていた笑みを消す。

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