俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「もうお手間を取らせませんので、どうぞ席にお戻りください。失礼します」

ハンドバッグを持ち、足を踏み出した一歩目でふらついた。

男とのトラブルで酔いは醒めたと思っていたが、体には飲みすぎの影響が出ていた。

転びそうになり焦っていると、彼に腕を取られて事なきを得る。

「手間を取らせない? どこがだ」

不機嫌そうな声が至近距離から聞こえた。

「重ね重ね、すみません……」

恥ずかしくて顔が熱い。

「部屋まで送ってやる。行くぞ」

「はい」

偉そうにされても言い返す気持ちにはなれず、腰に腕を回されて支えられたまま大人しく歩き出す。

エレベーターに乗り込んでふたりきりになると、密着する体を意識して鼓動が高まった。

(なにかあるわけじゃないのにドキドキする。イケメンだから仕方ないか。性格には問題がありそうだけど)

その一方で、面倒見のよさを感じていた。口は悪いけど困っている人を見過ごせない優しい人なのだろう。

そのようにせっかくいい方に捉えてあげたのに、扉が閉まるなり説教される。

「飲める限度くらい知っておけ」

「あのカクテルは三杯までだとわかってました。これ以上は無理だと言ったのに、飲まされたんです。こっちの話が聞こえていたんですよね?」

「ああ。わかりやすい手口にまんまと引っかかる、バカな女だと思って聞いていた」

「あの、さっきから失礼すぎませんか?」

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