俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
思わず言い返す。体を支えてくれている彼の顔を眉根を寄せて仰ぎ見ると、その美貌に不覚にも心臓を波打たせた。

支配者のように力強い眼差しに屈してしまい、目を逸らしてため息をついた。

「バカで結構です。騙されるし、婚約破棄されるし。仕事まで辞めてついていく準備をしていたのに。価値がない女なんですよ」

エレベーターの扉が開いて、降ろされる。

静かな廊下をふらつきながら進む間、勇大の顔が頭に浮かんで目に涙の幕が張った。

電話で告げられた侮辱的な別れの台詞まで思い出してしまい、弱気になる。

(泣いて縋れば可愛げがあると思ってくれた? それでも別れる気でいたんでしょ? こんなふうに考えること自体が可愛げないのかも)

「君の部屋に着いたぞ」

「はい。送ってくださって、ありがとうございました」

こぼれそうな涙を手の甲で拭い、ハンドバッグからカードキーを出した。

彼に背を向けてドアを解錠しようとしていると、真後ろから「おい」と低い声をかけられた。

振り向くと、またしても呆れ顔をされる。

「警戒心が足りない。部屋に押し入られると少しも思わないのか? 俺が立ち去るのを待ってから鍵を開けろよ」

もっともな注意に聞こえるが、いまいちピンとこない。

「あなたが私を襲うんですか?」

性格に難があったとしても、優れた容姿を見る限りきっと女性にモテるだろう。

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