俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「仕事の一環だ。初めて訪米した取引先の相手を案内して観光名所を回っていた。そんなことより君は、失恋しても笑って生きていけるんじゃなかったのか?」

「あれは、その……」

気まずくて目を泳がせる。

「別れた婚約者に言われたんです。出会ったばかりの女性の方が魅力的で、私の可愛げのないところが無理だって。自覚はしてます。あんな風に叫んだのは、のせられたせいで……」

(いい歳なのに、悔しまぎれに大声で文句を言うなんて恥ずかしすぎる)

自分の中で静かに失恋ショックと向き合い、気持ちを立て直すのが大人の対処だろう。

昨日の梨乃は悪くなかったと彼が言ったのは皮肉に違いない。

バツの悪い思いで眉根を寄せると、顔の横に彼の右腕が突き立てられた。

(えっ?)

「なぜ逆の意味に捉える?」

真顔でそう言われた次の瞬間、一拍で唇を奪われて目を見開いた。

美麗な顔がぼやけるほどの至近距離にある。

驚きでなにが起きたのかすぐに理解できずに固まっていると、強く押し当てられた唇が離れていった。

拳三つ分の距離で彼がニヤッと口角を上げている。

「面倒を見てやったんだ。これくらいのお礼を受けてもいいだろ?」

「いっ……いいわけないでしょ! 捨てられた女だからって軽く見ないで」

本気の怒りをぶつけたのに、なぜか彼が満足げな笑みを浮かべた。

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