俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
当たり前の挨拶がくすぐったい。この家で一緒に過ごす時間はまだまだ新鮮で、鼓動が一割増で高まった。

「これから夕食を作るんだけど、なに食べたい?」

聞いてみたもののレパートリーは多くない。自分をよく見せようとしても一緒に暮らせばバレるものだと思うので、自信がないと伝えた上で初めて彼に振る舞った手料理は名もない炒めものだった。

美味しいとは言ってくれたけれど、黒見の方が料理上手である。

「一緒に作ろう」

スーツのジャケットを脱いだ彼がワイシャツの袖をまくりながら隣に来た。

中腰で冷蔵庫の中を覗く美麗な横顔に、また少し鼓動が速まる。

(落ち着いて)

同棲を提案された日は二度もキスされ、その日以降も度々唇を奪われている。

そんな気はしていたが、キスまでなら許可されたと思わせてしまったようだ。

(そういうのはつき合ってからの方がいいと思うけど、嬉しくて拒めない)

心の中ではもったいぶらないで早く恋人になればいいと言ってくる自分と、別の考えを持ったもうひとりの自分がいつも口論している。

もうひとりの自分は本気だからこそ始める前に、心変わりせず長くつき合えるかを慎重に見極めるべきだと真剣な顔をして訴えていた。

冷蔵庫から取り出した食材が調理台に並べられた。

鶏もも肉と生ハム、ジャガイモやリーフレタス、ルッコラなどの数種類の野菜だ。

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