俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「もう、突然はやめてよ。お皿を落とすところだったじゃない」

「いいよとお前が言ったんだろ」

「下ろしていいよ、に決まってるでしょ」

あの状況でキスの許可だと受け取る方がおかしい。

彼は切ったジャガイモを耐熱ボウルに入れながら楽しそうに笑っている。

「結構からかうのが好きだよね」

彼の方に半分背を向けてサラダを盛りつけていると、肩に手を置かれた。

「怒ったのか?」

彼らしくない若干弱気な感じのする声だ。

(この程度で怒らないよ。そうじゃなくて……)

振り向いた自分の顔が赤いのは自覚している。

きっと素っ気ない態度を取った理由が黒見にも伝わっただろう。

「こういう攻撃は照れるから、どう返していいのかわからないの」

彼はホッとしたような笑みを浮かべたくせに、すぐに余裕を取り戻して梨乃の顎に指をかけてきた。

胸はときめいても、悔しいので二度目の攻撃は回避する。

「これじゃいつまで経っても夕食ができないよ。お腹空かないの?」

「梨乃の唇で空腹も満たされたい」

もう一度赤面させようと企んだのだろう。端整な顔の口角をニッとつり上げた黒見だが、その直後に彼のお腹の虫が鳴いた。

「空気を読めよ」

自分の胃袋に文句を言うからおかしくて吹き出して笑うと、彼の目が優しげに弧を描いた。

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