俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「油断するなよ。俺が不在の間、十分に周囲に気をつけろ。ボディーガードを雇った方がいいか……」

「それは絶対にやめてね」

(ボディーガード付きで仕事に行けと言うの?)

今度はどんな噂が立つことか。

「どこかの国の身分を隠したお姫様とか噂されそう。純和風の顔でもね」

自分の想像に笑ってしまったが、黒見はまだ眉間に皺を寄せたままだった。



黒見が日本を発った三日後のこと。退勤時間は二十分過ぎていて、梨乃は自席でノートパソコンに向かいラストスパートに入っていた。

「宮内さん、残っている仕事があれば手伝います」

声をかけてくれたのは木村だ。

「大丈夫です。私ももう終わるところですので」

「わかりました。では、お先に失礼します」

木村が帰った十分後に梨乃も部署を出た。ちょうど帰ろうとしている社員が多く、エレベーターは待ちそうだったので階段で下りた。

(あと二日か……)

黒見の帰国が待ち遠しい。十四時間の時差があるので声が聞きたくても電話はかけにくく、初日に彼から送られてきた街角の風景画像を見ただけで他に連絡はしていない。

(早く日曜にならないかな)

どんな出張だったのかを聞きながら、ふたりでダイニングテーブルを囲むのが待ち遠しかった。

一階まで下りてロビーを歩いていると、前を歩く数人の社員の向こうに美波の後ろ姿を見つけた。

< 214 / 238 >

この作品をシェア

pagetop