俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
逃げる間もなく目の前に立たれ、真剣な顔で言われる。

「ごめん、どうしても話したくて待ってた」

スーツではなく茶色いパンツの私服姿だ。梨乃の退勤を見逃さないように有休を取って、早い時間からここで待っていたのかもしれない。その執念に気分が急降下する。

(いい加減にしつこいよ)

なにをしても梨乃の気持ちは戻らないと、どうすればわかってくれるのか。

思わず深いため息をつくと、美波に戸惑いがちに聞かれる。

「梨乃。ええと、こちらは……?」

「NCPグループの牧本さん。新プロジェクトで美波が関わっていない部分の仕事を依頼してる。それと、私の元婚約者でもある人。仕事で再会したのは偶然だったけど、復縁したいって言われて」

美波には前の会社を辞めた経緯を説明した際に、婚約破棄された話もしていた。

その相手だと聞いた途端に、美波の目がつり上がる。

「よく復縁したいなんて言えましたね。梨乃への仕打ちを忘れたんですか? 控えめに言ってあなたは最低ですよ」

「す、すみません。深く反省しています」

勇大がきまり悪そうな顔で頭を下げた。

ここは社屋の正面玄関出入口のすぐ横なので、帰ろうとしている社員たちの視線が気になる。場所を変えた方がいいようだ。

(話したくないけど、すんなり帰ってくれないだろうし。仕方ない)

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