俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「そいつより絶対に俺の方が梨乃を幸せにできる。だから、俺と結婚してください!」

勇大が急に声を大きくするから、焦って店内を見回した。

隣のテーブルの女性ふたり組と目が合い、すぐに逸らされる。こっちの会話が聞こえていないフリをしてくれるのが、さらに恥ずかしい。

(話も堂々巡りでもう無理だ。帰ろう)

オレンジジュースのグラスを持ち、一気に半分を飲んだ。これを飲んだら帰っていいと約束したからだ。

その直後にハッとしてグラスを見る。

(味が違う。これ、カクテルじゃない?)

「勇大、なに頼んだの?」

「オレンジジュース」

「嘘つかないでよ。この味、もしかして……」

急に体がカッと熱くなり、動悸と気分の悪さを覚えた。

元から体調不良だったとしても、カクテルをたった一杯飲んだだけで酔っぱらうことはない。ある種類のお酒を抜かしては。

(悪酔いしているようなこの感覚。ジンだ。やられた……)

数あるお酒の中でジンだけは体質に合わないようで、数口飲んだだけで気分が悪くなる。

それに気づいたのは若い時の友人たちとの飲み会で、ジントニックを少し飲んで立てなくなって迷惑をかけてしまった。検証のために自宅でジンベースの他のカクテルを少し飲んでみても同じだったので、それ以降ジンを避けていた。

五年も交際して結婚目前までいった仲なので、勇大はもちろんそのことを知っている。

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