俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
梨乃に帰られないための策なのはわかるが、このあと一体なにをする気なのだろうか。

めまいがしてきたのでそれを聞いている余裕はなく、倒れる前にと焦ってバッグから携帯を出した。

(将吾に助けを……あ、出張中だった。それなら美波にかけよう)

連絡してと言ってくれていたのを思い出し、携帯画面に触れたが作動しない。

(どうして!? 充電は半分以上あったはずなのに)

かなり酔った時のように頭も働かなくなってきて、電源が落ちている理由がわからなかった。

焦っているのに体勢を保てなくなり、授業中に居眠りをしている生徒のように頭をテーブルに預けた。

「おい、飲みすぎだぞ。送っていくからもう帰ろう」

周囲の客に怪しまれないように言ったのだろう。そのあとに耳元で囁かれる。

「ごめん。どうしても梨乃を取り戻したいんだ」

「卑怯、よ……」

もう弱々しい声しか出なかった。これでは誰にも助けを求められない。

体を起こされて片腕を彼の肩に回しかけられ、持ち上げられるように立たされた。

おぼつかない足で歩かされ、出口へと進む。

「お客様、大丈夫ですか?」

「タクシー呼んであるので大丈夫です。酒に弱いのに飲みすぎたみたいですみません」

(帰らないと……。あれ、今帰ってるのか。この人誰だっけ?)

意識がもうろうとして自分を支えている相手が誰かもわからなくなっていた。

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