俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
その肩書は、言葉が出ないほどの衝撃を勇大に与えたようだ。
怯えているような視線が黒見の顔から梨乃へと流された。
「勇大を追い詰めたくなかったから、なにもしないでと頼んでいたのに。でもこんな暴挙に出るなら、私ももうかばえない」
「そんな……」
「許すことはないが、安心しろ。解雇はされない」
すぐに九州支社に戻すよう働きかけたのだと思って聞いていた。クビにして再就職先を都内で探されるより安心できるからだ。
けれども黒見の口角がニヤリとつり上がった。
「国内にはいられないと思うが」
「ど、どういうことでしょうか?」
「東南アジアに事務所があるそうだな。あとは社長に聞いてくれ」
(行き先が決まっているの?)
よほど行きたくない転勤先なのか、勇大が膝から崩れ落ちている。
その脇を無言で通り過ぎた黒見がタクシーの後部席のドアをノックした。
「呼んだ本人は乗らないそうなので。麻布までお願いします」
「かしこまりました」
後部シートに下ろされて黒見と並んで座った。
発車してからも運転手にはバックミラーでチラチラと見られている。なにかトラブルがあった客だと思われ警戒されているようだ。
黒見に聞きたいことは色々とあったが車内では話せず、ただ彼の肩にもたれていた。
(頼もしい肩。ホッとする……)
自宅に帰り着いた頃にはかなり回復していた。