俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
奥歯をグッと噛んだ梨乃は、手荷物受取所で流れてきたスーツケースを力いっぱい持ち上げた。



(はぁ、満喫したな。ニューヨークを遊び尽くしたって感じ)

この旅は三泊の予定で、今夜が最終夜だ。

十一月中旬の今はクリスマスマーケットが開催されていてそれを見にいき、アウトレットモールでショッピングをした。自由の女神の展望台に上り、セントラルパークの紅葉ツアーに参加し、NBAの野球観戦にブロードウェイのミュージカルとマジックショーを楽しんだ。

こんなに一生懸命に遊んだのは子供の頃以来だろう。

寂しい思い出とならないように意地で遊び回った感じはするが、楽しかったのは事実だ。

二十二時を過ぎてから、梨乃はやっと宿泊している高級ホテルの部屋に戻った。

コートを脱ぐとその下にはワインレッドのタイトなワンピースを着ている。

旅行初日に購入したもので結構な値段がしたが、無職だからと節約していては旅行を楽しめない。今はお金をかけてでも失恋の傷を癒したい心境だ。

ベッドに仰向けで寝転んでため息をつく。

「明日は日本に帰らないと……」

飛行機を降りれば厳しい現実が待っている。

目下の懸案は再就職先を探すことだ。

新卒から七年ほど勤めた保険会社ではマーケティングの部署に所属していた。

上司も同僚もいい人たちで働きやすく、大きな仕事も任されてやりがいも感じていた。

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