俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「なにを言い出すのよ。そのソフトは使わないように言ったでしょ。勝手に計算したデータも破棄してと指示したわよね。どうしてミーティングにまで持ち出すの?」

「宇津木さん、そう言われましても間違った結果を見過ごすわけには――」

「私に間違いはありません。指示を無視して勝手な真似をするなら出ていって」

(ダメか……)

諦めようとした時、黒見が立ち上がった。

梨乃の真後ろまで来た彼がテーブルに右手を突き、腰を曲げて梨乃のノートパソコンの画面を覗き込んだ。

ミーティング室内はシンと静まり返り、梨乃は微動だにできずにいる。

肩に少し彼のスーツのジャケットが触れていて、拳三つ分の近距離に美々しい顔がある。

息遣いされ聞こえてきそうで、心臓が早鐘を打った。

(意識しないように……って、無理だよ)

先月のニューヨークでのキスと一昨日の執務室での壁ドンを思い出し、勝手に顔が熱くなる。

(交際する気はないけど私だって女だから、いい男に接近されたらドキドキする)

生理現象と同じで仕方ないことだと心で言い訳し、静かに動悸に耐えている。

画面をじっと見ていた黒見だったが、十秒も経たずにスッと離れて席に戻った。

ホッとしたのも束の間で黒見の低い声がする。

「宮内の言う通りだ。宇津木はなぜ信頼度が低い古いツールを使えと言ったんだ?」

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