俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
まだまだニューヨークを楽しむぞという気持ちで勇んで足を進めたが、空のグラスをトレーにのせたラウンジスタッフの女性に止められた。

「大変申し訳ございませんが、ただいま満席となっております」

アーチを描く窓に沿ってカウンター席が五十ほどもあるのに、すべて埋まっていた。

テーブル席を見渡すと少しは空席があるようだが、見知らぬ客と相席になってしまう。

がっかりしてエレベーターに戻ろうとすると、「ヘイ!」と近くから声をかけられた。

四人掛けのテーブル席にひとりで座っている青い目のアメリカ人風の中年男性で、親切そうな笑みを梨乃に向けている。

「よかったら一緒に飲まない? 君は席が確保できるし、僕は話し相手ができる。いいアイディアだろ?」

彼もこのホテルの宿泊客で、寝る前にブランデーを楽しんでいるところだという。

向かいの椅子を勧められたが、迷うことなく相席を断った。

するとオーバーアクション気味に悲しそうに首を横に振られる。

「気軽に声をかけて悪かったよ。パートナーにフラれたばかりで寂しくてね。つい話し相手を求めてしまったんだ」

(私と同じだ)

見ず知らずの外国人男性とふたりでお酒を飲むのには抵抗感がある。

人が多い場所なので警戒はしていないが、なにを話していいのかわからない。英語での会話にも疲れそうな気がした。

< 6 / 238 >

この作品をシェア

pagetop