俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
けれども傷心中の彼に自分を重ねて同情し、ほんの少し仲間意識が芽生えた。

「そうだったんですか。私でよければお話しを聞きます」

「本当かい? 嬉しいな。お礼に一杯ご馳走するよ」

ラウンジスタッフに昨日と同じワインベースのカクテルを注文し、彼の向かいの席に座った。

「どこから来たの?」

「日本です」

「遠くからようこそ。かなり前だけど日本人と話したことがあるんだ。職業はニンジャだと言ってたんだけど、本当かな?」

「えっ、どうでしょう。時代もののテーマパークにお勤めならそうかもしれません」

間もなく運ばれてきたカクテルを飲みながら、他愛ない話をする。

彼はユーモアがあり気さくな人だ。最初の緊張はすぐにとけ、気楽に会話を楽しむことができた。

カクテルを三杯飲み終えると、四十分ほどが経っていた。ほろ酔い気分で眠気が差し、ベッドが恋しくなる。

「そろそろ部屋に戻ります。楽しかったです。またどこかで会えるといいですね」

椅子から腰を浮かせると、「もう少しいいだろ」と引き留められた。

彼がラウンジスタッフを呼び、梨乃の四杯目のカクテルを勝手に注文してしまう。

「これ以上は飲めません。酔っぱらってしまいます」

明日の正午頃の飛行機でニューヨークを発つ。二日酔いで長時間の飛行は勘弁だ。

「ありがとう。さようなら」と言って立ち上がったが、足を進められない。

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