俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「失敗を恐れるな。話題性が落ちるからモデルケースはいらない。初回は二年後の夏に東京国際フォーラムで開催しよう。いわばそれがお試しだ。反応を見て全国展開する。お前が言った通り、基礎作りは必要だ。若い世代の保険加入者を増やすために裾野を広げなければと俺も考えていた」

概算での億単位の予算を伝えると彼女が息をのんだ。

その箸からローストビーフがすべり落ち、かなり驚いているようだ。

「どうした? 手が震えているぞ」

「武者震いです」

失敗も十分にあり得る企画に多額の予算を組まれるのが怖いのだろう。

それでも強がりを言い、ローストビーフを口に入れ直している。

(そういう反応をするのか。可愛いな。この俺に守って成長させてやりたいと思わせるとは大したものだ)

男に守られて生きる女性は好かない。庇護欲を掻き立てようと、狙って可愛らしくふるまう女性は論外だ。

それなのに梨乃に対しては守りたいという気持ちになり、自分を意外に思っていた。

まだ深く知らない相手にも関わらず、相性がいいのを直感している。

梨乃の方はそう思っていないようだが、その気のない女性を振り向かせるのもなかなか面白そうだ。

弁当を食べ終えると時刻は十二時五十分になっていた。

イベントの目的と方向性をはっきりさせ、開催時期と大まかな予算は伝えた。

黒見の仕事はひとまずここまでである。

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