俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
彼が目元を片手で覆って泣き出したからだ。

「すまない。別れた恋人を思い出してしまったんだ。彼女も僕に、『ありがとう。さようなら』と言って去って行った」

「ご、ごめんなさい。悲しませるつもりはなかったんです。あの、もう一杯だけ飲んでから部屋に戻りますね」

「優しいね。君のような人なら、僕と違って恋愛で失敗しないんだろうな」

「そんなことないです。実は私も最近、恋人にフラれたんです」

彼を慰めるつもりで元彼の話をする。

「僕もそうなんだよ。婚約していたのに、もっといい人を見つけたから別れてと言われたんだ」

「そうなんですか!」

状況が似ていると仲間意識が一気に膨らみ、もっと話をしたくなる。

悔しさや怒りを吐き出すようにして話し続ける梨乃に、彼は「その気持ちよくわかるよ」と深く共感してくれた。

限度を超えているのがわかっているのに、気づけば三杯目のカクテルを飲み干していた。

「勇大のバカ。簡単に乗り換えてしまうくらいの軽い気持ちなら、プロポーズなんかしないでよ。私は本気だったのに……」

悲しみから怒りへとシフトチェンジすることで前を向けたと思っていたのに、酔いのせいで感情をうまくコントロールできない。胸が張り裂けそうになり、涙で視界が滲んだ。

すると彼が隣の椅子に移ってきた。

「つらかったんだね。でも大丈夫。僕がいるから」

(えっ?)

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