俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
富樫からフィードバックを受け、明日の朝いちの別件での打ち合わせ準備をしてから退勤しよう思うので三十分ほど残業する予定でいる。

それより先に出張の打ち合わせに応じると言おうとしたが、予想外の質問をされる。

「誰かと食事の約束もないか?」

「はい。まっすぐ家に帰りますが……」

「俺と食事に行こう」

「はい?」

疑問符をつけたつもりだったが、了承と受け取られたようで彼が爪先を出入口の方へ向けた。

「三十分後にロビーで」

(これってまさか、デートの誘い?)

黒見はもう歩き出している。断るつもりで引き留めようとしたが、部署に戻ってきたところの宇津木の姿をドア前に見つけて思わず肩を揺らした。

黒見と鉢合わせた彼女は驚いた顔をして一歩横によけ、会釈して進路を譲っている。

遠目だが、その横顔が嬉しそうに見えた。

(ここでは断れない)

黒見に食事に誘われたのを宇津木に知られたくない。できれば出張同行も隠したい気持ちだ。

宇津木を刺激しないようにと考えているというのに、黒見が廊下に出て行って姿が見えなくなると同時に木村が駆け寄ってきた。

興奮したような大きめの声で話しかけられる。

「さすが宮内さんです。黒見CEOのたったひとりの出張同行者に選ばれるなんて尊敬します!」

「き、木村さん、もう少し声を――」

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