俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「このあと食事に誘われたのは打ち合わせですか? それともデートですか? おふたりはもしかしておつき合いされているんですか?」

それを聞いてしまうのかと言いたげに富樫が苦笑している。

他の社員も梨乃の返答に耳をそばだてているのを感じ、冷や汗が流れた。

なにより気になるのは宇津木の反応だが、怖すぎて彼女の方を見られない。

(木村くん……。ハイキックお見舞いしてもいい?)

木村は真面目で明るく一生懸命で、空気が読めない性格だと最近わかってきたところだ。

「おつき合いしていません。食事のお誘いもきっと、いえ絶対に打ち合わせです。予定があるのを思い出しましたので明日以降、社内で対応していただけるようお願いしてきます」

いらない質問だったと木村に気づいてほしくて強めに言った。宇津木にまで声が届いてほしいという思いもある。

宇津木を避けるように遠回りをして廊下に出た梨乃は、黒見を捜した。

足が長いので彼はもうかなり先の廊下を進んでいて、小走りで追いかける。

上り階段の一段目に足をかけているところで追いつき、呼び止めた。

「なんだ?」

「食事にお誘いいただいて光栄なのですが」と前置きしてから苦情を言わせてもらう。

「部署内であのようにお誘いいただくのは困ります。CEOとの個人的な関係を疑われてしまいますので」

ステップから片足を下ろした彼が梨乃と向かい合った。

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